005【Specialist Column】by長井美有紀 「コスメとエコと。」 <2013.7.12更新記事>

コスメとエコと。
オーガニック・ナチュラルコスメには、環境に配慮していることが前提条件のようになっています。今回のブログは、より“green”にと願いを込めて、コスメと環境についてのお話です。
今年、環境問題を考えるきっかけになった国連の環境国際会議「RIO+20」。以前ニュースでも取り上げられていましたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。地球規模の環境汚染を防いで自然を保護する、というこれまでの考え方から、近年では環境問題を「持続可能な開発」という位置づけで、自然と共存していく考え方に変わってきているのです。
この環境国際会議で話されたことの一つに、先進国と後進国の相互取り組みがありました。化粧品の分野で言うと、オーガニックをはじめ植物由来のコスメの原料になる草木や果物などは、途上国で栽培・自生しているものが多くあります。RIO+20では、後進国より、その自然を守るのは、製造・加工する先進国の役目であり、また後進国へ利益配分をし、また採り過ぎを防ぎ、環境整備など技術提供する必要があるという主張が強調されていました。
先進国の利益だけを優先しては、地球全体の自然は守りきれませんので、共存を維持できるように努めていかなければならないと思いますが、一方通行にならぬように具体的な取り決めが注目されます。

また、近年のキーワードは、「環境配慮型」という言葉です。世界では兼ねてからオーガニックやナチュラルコスメが主流になってきていますが、日本でもついに、オーガニックコスメやそれ以外のコスメにも環境に配慮したコスメが出てくると言われています。
日本の大手化粧品メーカーが発売するブランド(オーガニックコスメ以外のもの)も、企画・開発から原料の調達、生産、流通から廃棄方法まで、一環して環境に配慮した取り組みが行われるようになってきました。一環したアプローチ以外にも、化粧品の原材料になる植物などに対して、「フェアトレード(公正取引)」や「3R」などの取り組みも行われるようになってきたのです。
「フェアトレード」とは、オーガニックコスメのブランドのパンフレットなどを見て、目にしている方もいらっしゃると思いますが、後進国で自生または生産された植物原料や、後進国内で製造されたコスメを購入する際に、適正な価格で継続的に取引を行い、現地に還元していくことで、現地の労働者や生産者を守る運動のことです。代表的なものが、日本でも近年とても身近になってきたモロッコのアルガンオイルです。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、モロッコでは、女性がアルガンの木を育て管理しているので、女性の権利・労働を守る大切な取り組みです。
「3R」とは、Reduce(リデュース=減らす)・Reuse(リユース=再利用)・Ricyle(リサイクル=再資源化)のことで、コスメに限らず地球全体で今必要とされていることです。農場に近いところで工場を構えたり、石油資源から天然由来の原料に変えたりなど、様々なメーカーさんが環境に配慮した仕様に転じるようになってきました。
これらはとても魅力的なことです。大震災からそれぞれが自然や環境をより見直すようになり、まずはとても身近な食への関心が高まってきました。コスメについても、安全・安心なものというだけではなく、それを叶える植物そのものや環境への配慮に、今後は期待していきたいですね。

*著者
美容アナリスト ビューティーフードアドバイザー 「健美」食品コンサルタント
長井美有紀